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【テリメイン海洋(魔法)生物レポート】

■音痴なセイレーン■
特徴:女性?(後日写真を転送予定)

危険性:音痴な自覚がなく、その歌の呪力で相手の戦力をかなり削いでくる。
魔法薬学で出たマンドレイクの叫びくらい危険かも知れない。
耳栓をしていても鼓膜に届くので注意。

言語の読解:可能。

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「(あの歌声、ライオさんが応戦的に歌っていたのかと思ったけれど、違っていたようですね……)」

 前回の戦闘後の事を思い出しながら、ユアンは今年最初の提出レポートを転送した。

『ねぇねぇ、ユアン~。スコーン食べたいよ……』


 他の人の目には、ニャアニャアと青年の足元に擦り寄る、ケープを羽織った黒猫──に見えるが、分かる者にはそれが青年の使い魔で、喋る猫と分かるだろう。
 ──最も、普段は只の黒猫のふりをしている為、文字通り猫を被っているが。

 彼は、ユアンが一時帰国した際、ユアンが無理矢理連れてきた使い魔である。
 最初の時に、同行するように言ったが、行き先が海の世界で全く泳げない為、ユアンの実家に逃げ戻っていたが、今回は連れてきたのである。

「だーめ。幾らベルナールが普通の猫でないとはいえ、貴方がそんなものを食べてばかりでは体に毒ですし、何より今は直ぐ作れる場所もありません」

『ケチ~。魚は嫌いじゃないけど、流石に魚ばっかじゃ飽きるんだよね……』

「……善処します」

 ユアンはあまりゲテモノ料理過ぎない程度ならば、好き嫌いは然程ないのだが、ベルナールは猫のくせに、魚が特段好きという訳ではない。
 普通の(人間界の)猫よりは体が丈夫で、刺激の強いモノでなければ雑食に近いかも知れない。

 とはいえ、魚が少し飽きるというのは、ユアンも同意であった。

「海産物は幾らでもある場所なので、海産物好きにはたまりませんが、長居すると少し陸のものが恋しくなるのは本当ですね……そういえば面白い食べ物があると、観光協会で聞きましたね。今度食べに行きますか?」

『ホントに?!……やったぁ!楽しみだなぁ』

「(食意地の張った猫ですね……いつか出っ腹猫にならなければ良いですが)」

 猫らしくなく、踊るように喜ぶベルナールを横目に、困ったような苦笑を浮かべる。

 新しい仲間──もとい使い魔が加わった探索、この先どうなるだろうか?
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